みんなの文化財 第9回 西福寺の文化財(3)


西福寺の文化財(3) 八十一難経版木

■第9回 西福寺の文化財(3)  八十一難経版木

■先ず初めに、難経とは難しい御経のことではありません。難経は「なんけい」と読み、東洋医学でいう経絡(けいらく=神経や脈絡)つまりスジやツボと、健康や病理との関係を説いたもので、要するに中国の医学書です。成立は春秋時代と言われますが、明代の注釈本を元に、室町時代、谷野一柏(たにのいっぱく)という医師が校正を加え出版したもので、写真はその木版刷りに用いた版木(はんぎ)です。
谷野一柏は、もと奈良の僧でしたが、明に渡って医学、易学などを学び、帰国後、関東を拠点に学名を高め、朝倉氏に招かれて越前・一乗谷城外の高尾に移り住みました。この
「八十一難経」は、天文5年(1536)に出版されたもので、わが国の医書としては、堺の阿佐井野宗瑞による「新編名方類証医書大全」に次ぐ2番目の刊行でした。
版木は、「八十一難経」全3冊のうち、19丁分、6枚が西福寺に伝わっていますが、これは、一柏に師事した朝倉氏一族の医師・三崎安指の家系に代々伝わる版本(はんぽん)とほぼ完全に一致するものと見られ、いずれも福井県指定文化財に指定されています。

■ひとこと解説
『木版刷り』
木版による印刷は、7世紀末か8世紀初め頃、中国・唐で始まったと言われます。それまでは、ひたすら手で書写していました。現存する世界最古の印刷物は、法隆寺の百万陀羅尼経ですが、これには銅版説もあります。わが国では、中世に仏典などがさかんに印刷され、江戸時代になると、庶民文化の発展とともに木版刷りが大盛行しました。
現代ではプリンタが大活躍、木版といえば芸術の一分野か、凝った年賀状ぐらいですか。


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