家庭での食中毒を予防しましょう!
最終更新日:2023年7月3日
食中毒というと、飲食店での食事が原因と思われがちですが、毎日食べている家庭の食事でも発生しています。家庭内での発生では症状が軽かったり、発症する人が1人や2人のことが多いことから風邪や寝冷えなどと思われがちで、食中毒とは気づかれず、重症化することもあります。家庭内での食事作りでの食中毒予防のポイントを確認しましょう。
食中毒の3原則 食中毒菌を「付けない、増やさない、やっつける」
食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。
1.細菌を食べ物に「付けない」
食品にはいろいろな細菌が付いています。それら細菌を他の食品に付けないためには、まず、原材料は区分して専用容器に保管することが必要です。さらに、加熱調理した食品や生で食べる食品は原材料からの細菌汚染を防ぐため調理器具を使い分けるなどの工夫が必要になります。
また、手指にも多数の細菌が付いているため、調理の際の手洗いは、食品に細菌を付着させないための第一歩として大切です。
2.食べ物に付着した細菌を「増やさない」
食中毒細菌の中には、カンピロバクターのように少量の菌で発病する細菌もありますが、多くは黄色ブドウ球菌、ウエルシュ菌などのように食品中で大量に増殖して食中毒を引き起こします。食中毒を防ぐには、「増やさない」ことが重要なポイントになります。細菌にはそれぞれ生育に適した温度帯があり、食品を保存する際には、この温度帯を避けた温度(冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下)で保存する必要があります。
また、細菌は条件(温度・水分・栄養)さえよければ「ねずみ算式」に分裂して増えるので、食品を室温で長期間放置しないように心がけましょう。
3.食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」
食品の十分な加熱がもっとも効果的な方法です。加熱が不十分で食中毒細菌が生き残り、食中毒が発生する事例が多いので注意しましょう。一般的に食中毒を引き起こす細菌は熱に弱く、細菌が付いても加熱(75℃で1分以上)すれば死んでしまいます。
そのほか食器・ふきんを煮沸したり、次亜塩素酸ナトリウム溶液につけたりすること、手指を逆性石鹸などで洗うことによる殺菌、消毒も食中毒予防に効果的です。ただし、黄色ブドウ球菌のように毒素を作る細菌は、ひとたび食品中で増殖すると、たとえ加熱殺菌しても、作られた毒素で食中毒が起こることもありますので注意が必要です。
腸管出血性大腸菌・カンピロバクター食中毒を予防するために
夏のレジャーなどで、お肉を口にする機会が多くなる時期となっています。一方で、高温多湿のこの時期は食中毒の原因となる細菌が増えやすく、1年で1番、食中毒が発生しやすいときと言われていますので、注意が必要です。
1.食肉は生や加熱不足で食べると、食中毒になる危険性があります
「腸管出血性大腸菌」や「カンピロバクター」は、家畜の腸にいる細菌なので、食肉に処理する工程で肉への付着を完全に防ぐことは困難です。このため細菌が付着した肉を生で食べたり、加熱が不十分な肉料理を食べたりすると食中毒になる危険性があります。
また、子どもは大人に比べて重症化しやすいため、さらに注意が必要です。
2.食肉は中心まで十分加熱して、加熱前と加熱後のものをきちんと区別しましょう
「腸管出血性大腸菌」や「カンピロバクター」は熱に弱いため、これらによる食中毒を防ぐには、中心部まで十分に加熱することが必要です。目安として、肉の中心部の温度が75℃で1分間以上の加熱が必要です。
また、十分加熱した後であっても菌からの汚染を防ぐことが重要ですので、肉を焼くときに専用の箸やトングを用意して、自分が食べるための箸と区別しましょう。