みんなの文化財 第16回 池河内の太鼓踊り
最終更新日:2015年3月1日
池河内の太鼓踊り 写真
■第16回 池河内の太鼓踊り
■笙ノ川の源流、美しい湿原で知られる池河内には太鼓踊りという踊りが伝わっていました。昭和28年に県の無形民俗文化財に指定された貴重な民俗芸能です。
池河内は現在戸数が減少し、特に踊りの担い手となる若い世代は村外に出ています。このため数年来途絶えていましたが、平成9年から、池の河内出身の方々が復活させようと努力されています。
踊りは区内の諏訪神社で行われました。池河内の諏訪神社は、阿原池に住む大蛇があばれて村人を困らせたので、お社を建てて蛇精を封じ込めたもので、昔はスゴ大明神と呼ばれていたと伝えられています。
踊りの主役となるのは太鼓打ち二人と音頭とり二人、鉦打ち一人で、それに村の15歳以上の男性が羽織を着、扇子を持って参加しました。
太鼓打ちは、枝を5本だけ残した3メートル程の竹に、たくさんの赤と白の短冊を吊り下げた短ざく竹を背中にさし、太鼓をお腹に抱えるようにして吊り下げます。この太鼓を打ち、音頭とりの歌にあわせ、背中の竹を時に打ち合わせるなどして軽快に踊ります。
踊り歌は全部で17段あり、「山伏」「たから」「恋」「しらたけ」などの題名がついています。こうした曲は中世後期に成立したと考えられ、県内でも有数の、古い時代の音楽を伝えているのです。
■ひとこと解説
『雨乞い踊り』
太鼓踊りは雨乞い踊りとしても踊られました。
太鼓踊りが演じられるのは基本的に8月の16,17,23日(旧暦では7月の同日)でしたが、日照りが続くと他の村から池河内に雨乞いの依頼がありました。その際はまず神前で鐘と太鼓を鳴らして「雲たもれ竜王、雨たもれ竜王」と祈願しました。たいてい二日目の夜あたりから雨が降るので、そのお礼として太鼓踊りを奉納したということです。