みんなの文化財 第36回 立石岬灯台
最終更新日:2015年3月1日
立石岬灯台
■第36回 立石岬灯台
■敦賀半島の最先端、立石岬の標高115mの高台に、明治14年(1881)に完成した白色の洋式灯台があります。今日もなお現役で活躍しており立石岬灯台と呼ばれています。
江戸時代にも航路標識は設置され、敦賀湊には享和2年(1802)に荘山清兵衛が私費で建てた高燈籠が残っています(第35回参照)。慶應2年(1866)、わが国は英・米・仏・蘭4カ国との条約で、全国8箇所の洋式灯台設置に着手し、明治3年には東京湾口の観音崎に初めての洋式灯台が完成しました。
その後、全国各地に洋式灯台の建設が進められ、立石碕燈台は全国で36番目、日本海側では角島灯台(山口県)に次いで2番目に完成しました。高さ約6m、円筒型の石造りで、外壁を割り石の表面に仕上げたルスティカ(スペイン語で「田舎の」)風石積みが特徴です。
正面入口のまぐさ石には、「ILLUMINATED 20TH JULY 1881」「明治十四年七月二十日初點」と和英両文で記した金属プレートが嵌め込まれています。
なお、この立石碕燈台は、日本人のみの手で作られた初めての洋式灯台といわれており、それまでの灯台とはまた違った新しい段階のものとして記念すべき貴重な遺構です。
■ひとこと解説
『まぐさ(木+眉)石』
出入口や窓の空間の上に、水平に架け渡して上の重みを支える構造材をいいます。古代ギリシアの神殿建築や、日本建築の基本は、垂直な柱と梁などの横木を組み合わせた、このまぐさ式構造です。これに対してトンネルなどのように開口部の上部を横木ではなく、アーチ式に支える造りを拱式(きょうしき)構造といいます。