みんなの文化財 第27回 国宝 朝鮮鐘
最終更新日:2015年3月1日
国宝 朝鮮鐘 (太和七年三月日菁州蓮池寺鐘在銘)
第27回 国宝 朝鮮鐘
(太和七年三月日菁州蓮池寺鐘在銘)
■太和7年は唐の年号で、西暦では833年、朝鮮半島は統一新羅の時代です。新羅時代の梵鐘の遺品は少なく、日本に5例、韓国でも6例が現存しているにすぎません。この鐘は日本に伝わっているものとしては一番古く、唯一つ国宝に指定されています。
朝鮮鐘(ちょうせんしょう)は和鐘(わしょう=日本の梵鐘)に較べ、二つの大きな特長があります。一つは鐘の文様です。和鐘のように袈裟襷(けさだすき)の文様ではなく、上下の文様帯の間に飛天を画いています。もう一つは、竜頭(りゅうず=鐘の吊り手)の横に甬(よう)または旗指しと呼ばれる筒状の突起がついていることです。
この鐘は総高112cmと渡来鐘の中では大型で、銘文から9世紀後半に作られたことが解ります。菁州とは半島南部にある現在の慶尚南道晋州(チンジュ)にあたりますが蓮池寺というお寺の所在については解っていません。
社伝によると、この鐘は、16世紀末頃、敦賀領主であった大谷吉継が、豊臣秀吉の命を受けて常宮神社に寄進したものとされていますが、それ以前に倭寇(わこう)によってもたらされたものだという説もあります。
■ひとこと解説
『福井県内の国宝』
わが国の重要文化財(建造物や美術工芸)の中で、特に価値の高いものが国宝に指定されています。全国で1,000余件を数えますが、大半は近畿圏と東京圏に集中しています。
県内の国宝を列挙しますと、小浜市・明通寺本堂、三重塔、織田町・剣神社の梵鐘、永平寺町・道元筆の普観坐禅儀、三国町・滝谷寺の金銅宝相華文磬、そして常宮神社の朝鮮鐘の6件となります。