みんなの文化財 第37回 小刀根トンネル
最終更新日:2015年3月1日
小刀根トンネル
■第37回 小刀根トンネル
■明治5年(1872)、新橋から横浜間の鉄道開業を始めとして、京阪神、次いで敦賀から長浜間に鉄道が敷設されました。
わが国最初の鉄道トンネルは、阪神間の石屋川トンネルですが、これはイギリス人技術者によって造られました。日本人技術者によるものとしては、明治13年(1880)の京都から大津間の逢坂山トンネルに次いで、翌14年、2番目に造られたのが、この小刀根トンネルです。総延長は56mと小規模ですが、トンネル入口はレンガ造、馬蹄型の構造で、内部は岩盤の露出部分とレンガ積みの2段に亘る構造になっており、当時の技術をそのまま伝えています。他の鉄道トンネルはいずれも改修がなされているので、この小刀根トンネルが現存するものとしては建設当時の姿を留める最古の鉄道トンネルということになります。
平成8年、敦賀市指定文化財(建造物)に指定。
■ひとこと解説
『近代化遺産』
わが国の近代化にあたって重要な役割を果たしたさまざまな建造物や土木工作物を近代化遺産といいます。近代的手法で造られた、主として洋風の建築物や産業・交通・土木等の工作物で、幕末から第2次大戦終了時ぐらいまでのものが対象となります。
敦賀市にも鉄道や港湾関係の近代化遺産が残っています。中には「立石岬灯台」(第36回参照)のように、遺産ではなく、今なお立派に現役として活躍しているものもあります。